曲がり角を間違えた先を更に進むと、宗教法人の建物が立っていて。
降ろされた旗の小さな鉄柱がカタカタ音を立てている。
一つ通りを抜けて交差点に戻ると、高いマンションから日本語ではない言語が 開け放たれた玄関のドアから会話が降り注いでくる。
俺はもう一度、整然と並べられた電灯のもとにたどり着き、
そしてふと立ち止まる。
大通りまで続く長い路地は、
電灯もどこまでも続き、
次弟に小さくなっていく。
道路には誰もいない。
誰もいない。
僕だけの道路。
ど真ん中を歩き、ファイリングした論文の束を片手に持ち、ある程度歩いて、立ち止まる。背後から自転車が俺を追い抜いていったが最後、路地には僕一人しかいない。
建ち並ぶマンションは、所々が明るく、暗いエリアが纏まっていたりと不規則な光がある。
道のど真ん中で誰も車が来ないことを前提に、道の真ん中を歩く。そして立ち止まる
何かが見えたわけでもなく、何かが聞こえたような気がしたわけでもなく
ただ止まった。
何も見えるものはない。何も聞こえるものはない。
誰かが自転車で歌いながら通り過ぎていく。
家の前で、いつもどおり、少女は自転車で路地を往復している。僕はそれを横目に、いつも玄関までたどり着く。
後襟は誰かが掴んでいる。
一瞬だ。
googleマップには、たしかにその曲がり角はある。
あるのだが、どうもおかしい
いつも曲がるべき角を間違えるし、それにすぐには気づかない。ヘッドホンで音楽を鳴らしていて、目の前の情報に気づいていないのだ。
そうしてある程度歩いたところで後襟を掴まれる羽目になるのだ。