【2024/02/09】
記事を分割しました。動画のリンクを、プレビュー形式で載せたのがまずかったらしく、記事を読み込むのにアホほど時間を要したらしい。リダイレクトの嵐の末に応答なし表示がされ、ろくに記事を読めなかったのではないかと今更気づいたため、第4回は分割してお送りします。
一年以内に続きを書くと宣言したのに、二年経ってしまった。
音楽の聞き方に良し悪しはないが、人に伝えたいとなると話は変わる。
伝わらなきゃ意味がないので。アレがこうでコレがああでドンドンシャンシャンギュイイイインでとか言ったって伝わらない。こういうものをうまく伝えるには鍛錬が必要なんだろうけど、音楽を聴くのに、ましてや誰に頼まれてもいない個人ブログでそれを書くのにそこまで必要とされるのかとも思うけどこれは自分なりにこだわってみたいところではある。
言い訳をすると、私は楽器演奏経験が一切無い。
で、この楽器はどこの会社のものでこういう音を出せるとか、楽器に関する知識もまるで無い。更に演奏経験がないのでどんだけ凄いことをしているかといった演奏技術に関して、演奏したことがある人よりも強い感動を得ることができない。
私が実際にドラムを叩いて、これから紹介する人力テクノを再現することもできなければ、自分が演奏するイメージすらもできないのだ。机を皿をペンや箸で叩いた程度。すべてのドラマーがそこから始まったとまでは言わないが、皿を叩くときでさえ等間隔のリズムで叩けない……私は何を書いてるんだ?
まあいいや。第4回も書きます。
とりあえずインストバンドを探している人たちに向けて何か書くことがあるなら、今までの分も含めてこうだ。
「アーティスト名だけ覚えてあとは各自で聴いてくれ」
The Baker Brothers
ざ・べいかー・ぶらざーず。イギリスのジャズ・ファンクバンド。
フェンダー・ローズ、ハモンド・オルガン(どちらも有り体に言えばキーボード)、更にギター、ヴァイオリンを担当する兄と、ドラムス担当の弟、そしてベース、ギター、トランペット、キーボードを担当する3人構成。サブメンバーとしてはサックスもいる。
PVはほぼfeat.等による歌モノしかない。あとはライブ映像とか。
この辺りか。
初期のアルバムは本当に良い。2003年のアルバム「Ten Paces」の1曲目からオススメできる。一番好きなのは2006年のアルバム「Bakers Dozen」の「All Baked Out」。
と言っても最近(2017年)は歌ものに傾倒してる節がある。兄弟も脱退しちゃったし。これもある意味変遷というところで。本は歌モノだったインストバンドとは反対の系譜。
Adebisi Shank
あどびし・しゃんく。こちらはアイルランドのインストロックバンド。ギター、ドラム、ベースの3人構成。
殺人的な高速ギターリフと荒削りなドラムによるハードコアサウンドがメチャクチャ気持ちいい。
特徴的要素の一つがアルバム名。1枚目のアルバム名は「This Is the Album of a Band Called Adebisi Shank」、2枚目は「 This Is the Second Album of a Band Called Adebisi Shank」、3枚目は「This Is the Third Album of a Band Called Adebisi Shank」。
”これはアドビシ・シャンクと呼ばれるバンドの○番目のアルバムです”
みたいな感じ。とにかくアルバムの名前に執着がない。
テクノサウンドも程よく取り入れられていて、テクニカルな演奏が織り成す強烈なマスロックサウンドがとても良い。オルタナロックのインストゥルメンタル版みたいなそういう感じのやつ。個人的には3枚目のアルバムの「Sensation」がお気に入り。
残念ながらバンドは2014年に解散してしまった。サブスク系サービスで3枚とも聴けるのでぜひ。
Holy Fuck
ほーりーふぁっく。直球すぎる。バンド名も時折Fワードとして伏せられたりする。
カナダのエレクトロインストバンド。キーボード2名、ベース、ドラムのギターレス4人構成。だったけど時々ギターサウンドが入る曲もある。
アルバム「Latin」より。猫が楽器を演奏しているかわいいMV。
この特徴的なテクノサウンドが、人力によるものなのが凄いところ。
ちなみにこの曲自体は歌詞あり。コーラスめいたボーカルにはノイズが織り込められて聞き取りづらい。個人的にこういうコーラスは、たとえ歌詞があっても、楽器の一部だと思っている。
ライブバージョンを見てもらえれば一目瞭然。即興的な演奏に合わせてドラムは演奏されている。緻密に。
各種サブスクでも聴けるのでぜひ。
次の紹介へ移る前に、ちょっと余談をさせてほしい。これから複数のガールズインストバンドを続けて紹介するにあたって、ちょっとだけ。
バンドというのは往々にして、メンバーの性別によって呼ばれ方、振り分け方が変わっていく。女性オンリーならばガールズバンドになるし、男女混合なら男女混合バンド、男性オンリーかつメンバーに紅一点みたいな立ち位置の女性メンバーがいたら、そのままバンドという、なんとも雑な括りで成り立っている気がする。
で聴く人間からすると、そういうジャンル判別や振り分けは、大抵バンドの顔であるボーカルの声で判断をしてしまいがちである。メンバー全員が覆面バンドとかだったらなおさらボーカルの声だけでガールズバンドかそうじゃないかを判断してしまいそうになる。そしてだいたいその予測は外れるのである。
しかしインストバンドにおいては、この手法でガールズバンドなのかそうじゃないのかの判断をすることが不可能に近い。いや判断する必要ってそんなにないかもしれないけど。例えばガールズバンド縛りでプレイリストを組むとなった時に、メンバーのビジュアルなしでは到底無理な話となってしまうのである。
閑話休題。
戻ろうか。
NISENNENMONDAIとも。
人力ミニマル・テクノ。1999年に結成されたギター・ベース・ドラムの3人編成。
前述の通り、綺麗に精密に演奏されるドラムは人力である。それが5分以上、長ければそれ以上続く。
アルバム「とり」より。11年前のライブ映像。
単調と言えば単調。だけれどそんな感想で彼らの曲を一蹴できるかどうかはどうだろう?
ずっと同じリズムで少しだけ変わる感じの長い曲なんて飽きちゃいそう?
本当に?
なら気をつけていてほしい。特に足元。体が自然とリズムを刻んでいることに気がついてからではもう遅い。あっという間に最後まで聴いてしまうから。
2013年「N」より。基本的に彼らのネーミングにはそれほど意味合いを含んではいなさそう。ほか楽曲の曲名もかなり簡潔。「N」には3曲収録されている。「A」「B-1」「B-2」の3曲。合計再生時間は約40分。一曲一曲が長く、踊り続けるには体力がいる。踊らずにずっと聴くのであれば、何らかの形で体にリズムが刻み込まれることだろう。
そういう、一つの無駄もない曲を、彼らはずっと演奏し続けているのだ。
人力ミニマルテクノの呼び名は伊達じゃない。
現在も活動中。Twitterの更新は2020年で止まっている。
bandcamp(アプリもあるよ)にて発表している模様。
【soup bandcamp 38】
— soup (@ochiaisoup) 2020年7月3日
nisennenmondai @nisennenmondai0
"S1 / S2"
NYP(0円+ドネーション)
第38弾はnisennenmondai! 2016年の「E」以来となる新曲です! ミニマルな揺れやゆらぎの極限を見据えながらもトリオ編成のバンドフォーマットを拡張し続ける2曲! 祝・再始動!https://t.co/c36Y4kuExK
bandcampについても後ほど書きます。
おーおーあいおーおー。
雑誌の企画から結成に至った民族的なインストバンド。ギター・ギター・ベース・ドラムスの4人編成。民族的なコーラスが入る。メンバーの一人はボアダムスにも加入している。
言語はスワヒリ語にハワイ語に造語まで多岐に渡る。厳密にはインストバンドではない。しかしまぁこの民族性たっぷりの民謡めいた音楽たちの中にはほぼ絶叫だけだったり、前述した造語のコーラスもある。
公式サイト(
http://ooioo.jp/ooprofile.html
)紹介文より。
YoshimiOを中心に、1995年より活動。 |
youtu.be アルバム「COCOCOOOIOO」より。2004年リリース。
MVもアヴァンギャルドテイストがふんだんに使われており、ますます民族的。
アルバム「TAIGA」より。2006年。個人的に一番好きな曲。
お祭りのような賑やかさがとても気分を高揚させる。
現在も活動中。2019年リリースの最新アルバム「nijimusi」もサブスクで聴けるかも。ぜひ。ダンサブルに叫びながら踊ってみるのも悪くはない。
トーキョーキラー
とーきょーきらー。 これまで紹介してきた中では一番新しく結成されたインストバンド。PIGGY BANKSのギター・PIGGY BANKSのベース・アーバンギャルドのキーボード・GO! GO! 7188のドラムという強烈な4人編成。
ファズをバリバリに効かせたギターの旋律は、サーフロックを彷彿とさせる。
アルバム「トーキョー★キラーストリート」より。
こちらは2ndアルバム「BOOM GO!!」に収録。アルバムにはベンチャーズのカバー曲も入っているぞ!
この現代にこういう方向性のバンドが出現したことに驚きを隠せなかった。
で、明らかにサーフロックの系譜をたどってるなぁと思いつつ、カバー曲も精力的に発表し続けている。現代の新しい解釈でサーフロックはインストバンドとして生き残っている。
Russian Circles
ろしあん・さーくるず。
拠点はロシアではなくイリノイ州シカゴ。ギター、ベース、ドラムの三人構成。
ポストロックとポストメタルを併せ持った感じの音楽が特徴。とても三人でやってるとは思えないような分厚い音で、一曲一曲の密度が高い。
一番新しいアルバム「Blood Year」より。
殆どの曲が5分以上あり、展開の仕方も物語的で、一曲ごとの満足感も高いだろう。
2011年のアルバム「Empros」より。まぁとにかく音の重なりがえげつない。
最初のアルバム「Enter」より。
彼らの轟音はライブでも健在。ツアーを開催したりと精力的に活動を続けているのでファンになるのも遅くはない。
どん・きゃばれろ。
1991年にアメリカはピッツバーグで結成されたポストロックバンド。
2000年11月に一度解散し、2003年に再結成。現在はギター、ベース、ドラムの三人構成。解散前のメンバーには、Battlesのメンバーもいた。
変拍子やハチャメチャに変則的なメロディが特徴。マスロックというジャンルのパイオニア的存在と行っても過言ではない。
解散前のライブ映像。この時点で曲調が荒ぶっている事がわかる。最初のアルバム「For Respect」あたりはまだメタル感が強かったものの、その片鱗は見せていたし、十分変則的なアルバムだと思う。
個人的にはこの曲が好き。
「For Respect」より。
アルバム「Punkgasm」より。ボーカル曲も収録されているこのアルバムが、スタジオアルバムとしては最新のもの。
れが。
ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成……だったが、2017年に活動休止し2019年に再開へと至った際、ギター1名が脱退し3人となった。
曲調としては温かめの印象。ロックとしての激しさはしっかりと保ちつつも、ぬくもりのあるやわらかい感じの曲が多め。
アルバム「DISCUSS」より。
アルバム「Million」より。
アルバム「Among the flow」より。個人的なお気に入り。
割とオーソドックスなインストロックバンドなのかもしれない。筆者もこのバンドから本格的にインストバンドを好きになった。4回目の紹介記事で書くのも変に感じるくらい。彼らを真っ先に紹介したほうが良かったか。
インストロック自体を聞き慣れていない人におすすめするには最適。
活動再開してるし、今後に期待したい。
後半