(_ _).。o○(日記?)

Twitter(slsweep0775)ではとても書きづらいと思ったことを書いて、さらにそこから流れる思考に任せて自由に書くブログです

独断と偏見で紹介するインストバンド(4-2)

【2024/02/09】
 記事を分割しました。動画のリンクを、プレビュー形式で載せたのがまずかったらしく、記事を読み込むのにアホほど時間を要したらしい。リダイレクトの嵐の末に応答なし表示がされ、ろくに記事を読めなかったのではないかと今更気づいたため、第4回は分割して再度お送りします。

前回。つまり前半

slsweeper.hatenablog.com

 

 

LITE

 らいと。

 こちらもregaと並んでよく紹介されるインストバンド

 ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成。

youtu.be

 アルバム「Phantasia」より。

 最近は映画『騙し絵の牙』『ブライト:サムライソウル』のサウンドトラックなどを担当した。

 個人的にはこれがとても嬉しい。前々からLITEの作る曲はかなりサントラ向きだと思う節があり、いつかはサントラを担当してほしいと思っていたところ、今年になって映画2作の劇伴担当ときた。サントラだけ聴いた。映画も見たい。

youtu.be

youtu.be

 DÉ DÉ MOUSEとのコラボ楽曲もリリースした。最近のお気に入りの一曲。

youtu.be

 2ndアルバム「Phantasia」より。一番のお気に入り。

 先述の通りregaと並んでよく紹介されるバンドなだけあって、こちらもインストロック入門に最適。エモーショナルなサウンドとかっこいいギターの激しめなメロディは流石といったところ。

 

mudy on the 昨晩

 むーでぃーおんざさくばん。

 ギター3人、ベース、ドラムの5人編成。

 曲調としては激しめ。トリプルギターならではの隙間ないサウンドが良い。

youtu.be

 1stアルバム「pavilion」より。

youtu.be

 アルバム「Zyacalanda」より。この曲と、同アルバム収録の踊れる一曲「エゴ・ダンス」が個人的にお気に入り。

 活動頻度は低めかも。2020年は9mm Parabellum Bulletのトリビュートアルバムに参加していたり、新曲を出したりライブをしていたりはしたものの、2021年は特に活動していないかも? ライブやってたらごめんなさい。
 …と思ったら2023年に10年ぶりのフルアルバム「An Instrumental」をリリースした。

 

unkie

 あんきー。

 ギター、ベース、ドラムの3人によるバンド。

 ゴリゴリの激しいロックを魅せてくれる。ジャギジャギとかき鳴らすようなギターが癖になる。まるでそれに対抗するかのようにドラムもドカドカ鳴るし、ベースもエッジの効いたバリバリの音量で鳴りまくる。

youtu.be

 現時点で最新の4thアルバム「FOREST VAMP」より。リリースは2013年。

youtu.be

 上記の通り活動は2013年で止まったままである。

 2018年にギターの青木裕氏が急性骨髄性白血病により48歳でこの世を去ってしまった。

 3rdアルバムと4thアルバムは配信もされていないため、CDで聞くほかはないが、それ以外はサブスクでも聴ける。

 

nuito

 ぬいと。

 京都を拠点にしたギター、ベース、ドラムの3人編成。

 超複雑な拍子とめくるめく変わりまくる曲調で耳が追いつかない超変態的インストバンド。リリースされたアルバムは2009年の「Unutella」7曲収録の1枚のみとなっているが、そのどれもがヤバい。

 代表的なものを挙げるなら、拍子を重ねると猫のイラストロジックの絵になる「NeKoMaJiN vs」

youtu.be

 左右のスピーカーを対面させると隠しトラックが聴こえる「Hinemos」など。後者に関しては位相を反転させているため、モノラルスピーカーだと音が打ち消されてしまい聴こえなくなるらしい。

 楽曲はサブスクでも聴けるのでぜひ。

youtu.be

 

65daysofstatic

  しっくすてぃ・ふぁいぶ・でいず・おぶ・すたてぃっく。「65dos」という略称もある。イングランドで結成されたイギリスのバンド。

 ベース、ギター、ギター兼ピアノ、ドラムの4人編成。

 筆者がインストバンドを本格的に認知するきっかけとなったバンドでもある。

 とにかく音楽性の変化が非常に強い。

 初期アルバムはバンドサウンド中心で、静けさと激しさのメリハリが付いた重厚なサウンドだった。

youtu.be デビューアルバム「The Fall Of Math」より。こうした静と動の境界がある程度ハッキリしているのが初期作の個人的な印象。

 そしてアルバムは四作目に入った時。

youtu.be 4作目のアルバム「We Were Exploding Anyway」より。

「人力ドラムンベース」と評されるくらいの精緻なドラムは健在でありつつ、電子音楽がこのあたりから取り込まれていく。このアルバムに関して言うと、上記の「weak4」「Dance Dance Dance」など、踊れる曲も多い。

 なお、動画は公式YouTubeチャンネルにて公開中のもの。このチャンネルについては後ほど。

 その後名作ゲーム「No Man's Sky」のサウンドトラックを担当。宇宙のあちこちの惑星を探索していくというゲームの壮大な世界観に沿っていることもあり、収録楽曲も壮大な雰囲気を醸し出している。また、これまで若干ダークな雰囲気を中心に発表してきた楽曲と比べると、多少は「希望」を感じさせるような明るめの曲も多い。

youtu.be  実質6枚目のアルバムである「No Man’s Sky : Music For An Infinite Universe」より。

 そうして7枚目。「Replicr,2019」で初期から完全に変わる。

youtu.be 初めて聴いた時、65dosの楽曲かをまず疑った。

 シンセバリバリ。バンドサウンドは鳴りを潜め、前作のやや明るめの雰囲気から、一気に深い闇へ引きずり込まれてしまった。このMVにしてもそう。実験音楽・エクスペリメンタルへ舵を切っていた。これに関してもまた後で。

youtu.be  そして彼らの活動拠点は、音楽配信・販売サービスである「bandcamp」へ。そちらで楽曲をたくさん作っては発表している。上記のMVの楽曲も、bandcampで販売されているものであり、アプリ(無料。iOSAndroid対応。PCはブラウザから)さえ入れれば回数制限付きでフル試聴できるし、気に入ったら購入できる。

「Replicr,2019」で引きずり込まれた深淵の底には、普通のCDやメジャーなストリーミング配信プラットフォームでは到底出会えないような宝庫が眠っているし、65dosの最新楽曲にも触れることができる。谷底に落ちて損はない。

 で、YouTubeチャンネルでも精力的にMVや楽曲を発表し続けている。

youtu.be 最新アルバム「Tomorrowd」より。これはbandcamp販売であるため、itunesなどでは聴けないが、全曲フル視聴は可能。

「65LABS」と題されたプロジェクトの一環として更に多くの楽曲を発表し続け、それらを集めたのが「Tomorrowd」。アンビエントサウンドにところどころ垣間見えるバンドサウンドの割合が心地よい。

 また、支援サービス「patreon」を利用したメンバーシップサービス「Wreckage Systems」もある。こちらでは、新作を月一回無料ダウンロードできたり、メンバーシップ限定コンテンツ、discord上でのコミュニケーションが可能。

 そして公式YouTubeチャンネルの話。

www.youtube.com

 これは「Wreckage Systems」と呼ばれるライブストリーミング配信。今現在も流れ続けている。丁度AI音楽生成アプリ「Mubert」のように、音楽を日々自動生成して流している配信である。前述したメンバーシップシステムは、この自動生成プロジェクト「Wreckage Systems」を支援するためのもの。

 更に言うと、前述した最新アルバム「Tomorrowd」は、この「Wreckage Systems」を使用して作成された二枚目のアルバムなのである。

 そして、さっき紹介した「Replicr,2019」も「KMF」も、この「Wreckage Systems」より前の2019〜2020年の一年をかけて行われた「Unreleased / Unreleasable Vol.4」によるものである。

 バンドサウンド、もうやらないのかなという寂しさはあれど、このテクノサウンドプロジェクトがあまりにも良いので、私は聴き続けることだろう。

 そんなわけで、音楽性はおろか活動形式までガラリと変わった65dos。なんだかおすすめするのが非常に難しくなってきた。

 プラットフォームとかも結構変わってるし、サブスク解禁されていないアルバムもあるどころか配信販売すらしておらず、初期アルバムである「The Fall Of Math」「One Time For All Time」「The Destruction Of Small Ideas」はCDかYouTubeで配信しているフル音源を聴くほかない。

 そして最新曲に至ってはbandcampとYouTubeでしか聴けない状況だ。

 なのでおすすめするとしたら。

①まずアルバム、どの時期が好きかを知ろう。

 ある程度の楽曲は、itunesでも販売しているし各サブスクサービスでも配信中。その他初期アルバムに関しては前述の通りCDを買うかYouTubeで聴ける。中期アルバムに関しては公式YouTubeアカウントにて、ご丁寧に再生リストまで作られているので、そこから聴いてみてもいいかも。

②そのうえで、音楽性が自分の中で好きかどうかを考えてみよう。

 バンドサウンドゴリゴリの初期(CDかYouTube)、電子サウンドが入り混じり始めた中期(CDはもちろんサブスクでも聴ける)、そしてアンビエントとエクスペリメンタルに尽力する彼らの最新(bandcampとYouTube)。

 どれを選ぶかは自由。

 あと、今後彼らの動向を追いかけたい?

 そしてこれまでの音楽性の変遷と、これからの変化をリアルタイムで感じたい?

 それなら、まずは「bandcanp」を入れて、YouTubeアカウントをフォローして、無限生成される音楽の波に浸るのがいい。余裕があるならメンバーシップになったっていい。楽曲を購入するだけでもいい。

 それだけで、今後も続くであろう壮大な音楽実験を支援できる。

 

SCALPING

 すきゃるぴんぐ。すかるぴんぐかも?

 イングランドブリストルのバンド。

 ギター、ベース、ドラム、テクノの4人編成。

 繰り返されるミニマルテクノと激しめのロックサウンドがぶつかり合う曲調が特徴の一つで、もう一つは、

youtu.be

youtu.be

youtu.be

 MVである。ヴィジュアルアーティストのJason Baker氏によるある種グロテスクな短編映画めいたこれらMVが、ループするメロディにSF的なテイストを加えている。他のバンドよりもこの視覚的な要素に重点が置かれている気がする。歌モノにおける歌詞みたいな立ち位置なのかも。

 主にbandcampでの配信や、グッズ展開などがされているが、彼らについて書かれた記事が少なくて少し苦労した。サブスク展開もされているので気軽に聴けるが、このバンドに関してはMVも一見の価値が大いにある。

 

BARM

 ばーむ。

 ギターとベースによる、京都発の二人組。2021年にデビューアルバムをリリースしたばかりの新しいバンド。ギターとベースに限らず、打ち込みやピアノなども取り入れた多彩さを放つ。

youtu.be

 ジャズとロックの間を行き来するようなメロディが秀逸。一曲目の「SUez」は映画のオープニングのように「一曲目」としての役割を果たしていて、引き込まれること請け合い。

youtu.be

 今後に期待大。サブスクでも配信されている。 

 

 アメリカ民謡研究会 / Haniwa

 あめりかみんようけんきゅうかい。

 最後に紹介するのはバンドではない個人プロジェクト。

 ボカロP・Haniwa氏による残響系サウンドに乗せたポエトリー・リーディングが特徴的。ギター・ベース・ドラムなどを駆使し、ルーパーでリズムを刻み、作り上げたサウンドに乗せて、VOCALOIDやVOICEROID達が読み上げる。

 厳密にはインストバンドではない。ポエトリー・リーディングをインストゥルメンタルというジャンルに分類することについて特に異論がないなら、筆者はアメリカ民謡研究会もインストに入れることにする。

 最もインストに近いと言えるのは、

youtu.be

 これか。呼吸音のみという、およそボーカルとは受け入れられ難いような挑戦的な曲。個人的にはこれが一番好き。VOCALOID、つまり機械による歌唱曲において、歌唱者である初音ミクを始めとしたボーカロイドアイデンティティを問い直し再構築した、哲学的な作品となっている。

 そういうわけで動画表現も富んでいる。

 なお、声無しのバージョンもPiaproにて公開している。声無しバージョン”だけ”に着目すれば、インストロックと呼ぶことを認めてくれる人間も増えるだろう。

youtu.be

 これも好き。ニコニコ動画youtubeにて作品は公開されているが、特にyoutubeでのこの動画に関しては、フランス語字幕をつけることができる。かっこいい。

 ここ最近はチルサウンドに乗せたポエトリーリーディングを中心に活動中。若干ジャンルこそ変わるものの、その特徴的な作風は一貫している。

 最近はこちらの曲がロックサウンドに近い。

youtu.be

  CDは同人イベントなどでの頒布にとどまっており、サブスク配信も今のところはない。

hani.booth.pm

 なお、CDはBOOTHにて販売中。

 

 

 

 

 ここ2年で色々状況が変わり、音楽の形がだいぶ変わった。とりわけ気軽に出歩けなくなった状況下で、家で過ごしている人々に向けて様々なバンドが試行錯誤を繰り返してきた。新曲発表はもちろんのこと、サブスクリプション配信、ライブ映像の公開や、リモート演奏の投稿など、多様な形式で展開された2年間だった。

 しかし、展開したはいいものの、それを維持していくことが大変なのはまぁ、音楽に限った話でもないか。